カテゴリ:書評 軍事( 81 )   

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか   

2019年 01月 03日

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか/鴻上尚史/講談社現代新書/2017

この本は、戦史ものの本に準拠するとしながら、史実についての確認が十分ではなさそうである。
作者は歴史学的に文献価値のない本を出してしまったため、病床にてインタビューを受けた佐々木さんの苦労は、この書きぶりでは報われない。
作者は、特攻が無駄死にであると人々に流布したかったようだとの視点で読まれることをお薦めする。


https://www.amazon.co.jp/不死身の特攻兵-軍神はなぜ上官に反抗したか-講談社現代新書-鴻上-尚史/product-reviews/4062884518/ref=cm_cr_dp_d_hist_1?ie=UTF8&filterByStar=one_star&reviewerType=all_reviews#reviews-filter-bar

5つ星のうち1.0
特攻に対する事実誤認の集大成本2018年11月24日
形式: 新書

鴻上氏は多才な才能を発揮して、各分野で絶大な実績を残されており、私も尊敬しております。
従ってこの本が鴻上氏の名声もあって、高く評価されて、ベストセラーになったことも十分に理解できます。

しかしながら、この本を信じて高く評価されている皆さんや、そして鴻上氏自身も、もっと物を多角的に見ることはできないのか?とか、もっと自分自身で真実を探求しようと考えないのか?という疑問を感じております。

というのも、この本は、主題の佐々木氏への取材はいいとしても、その取材に基づいた特攻に対する評価があまりにも浅薄で事実誤認があるからです。

そうなった原因は、鴻上氏が、この手の浅い特攻叩き本に出典として愛用されている小沢 郁郎氏著『つらい真実―虚構の特攻隊神話』の記述を妄信してしまい、事実誤認の「特攻像」を前提にしてこの本を書いてしまっているからです。

この本のレビューもしましたが、この本は初版が1978年という時代もあり、当然ネットもなく、現在よりは外国の資料の調査が困難な中で、十分なアメリカ軍の資料を収集できず、その不十分な資料を小沢氏が自分の政治思想に基づく偏った引用と加工をしており、かなり不正確なものとなっています。

例えば鴻上氏も引用していますが(鴻上氏は小沢氏の引用を「米国の記録」と誤解して書いているが、小沢氏の引用は日本軍の戦果報告)、通常攻撃の有効率と特攻の有効率を比較し、小沢氏の「軍事的効率を高くは評価できない」という分析を鵜呑みにしていますが、実際の『米軍の記録』は日本軍の戦果報告とはかけ離れていました。
●真珠湾攻撃日本軍主張の急降下爆撃命中率49.2%に対し、第二次攻撃隊の急降下爆撃隊99艦爆78機が艦船攻撃を行い、アメリカの被害報告による250㎏爆弾の命中弾は合計で12発、出撃機数から算出した全体での命中率は15.3%、航行中の戦艦ネヴァダには23機が攻撃して命中5発、命中率21.7%
●インド洋海戦(セイロン沖海戦) 2隻の重巡洋艦(コンウォール・ドーセットシャー)命中弾 日本側主張46発(88%)→イギリス軍被害報告18発(34%)
●珊瑚海海戦 レキシントン命中弾 日本側主張10発(53%)→アメリカ被害報告2発(10.6%) ヨークタウン命中弾 日本側主張9発(63%)→アメリカ側1発(7%)

と日本側の華々しい主張とは大きくかけ離れていましたが、これは小沢氏が特攻の戦果を調査した際に参照したアメリカ軍の資料にも載っているはずなんで、自分の珍説に都合がいいデータを使い分けていると思われます。
この本の中で旧日本海軍や海軍高級軍人らを「矮小で卑劣な」嘘つきや「昭和天皇制軍隊の恥部」や「醜悪」などと散々罵倒しときながら、その海軍や高級軍人らが主張していたありもしない過大戦果報告を引用するなんて、都合よすぎだろとしか思えません。

小沢氏は急降下爆撃の命中率は日本軍の戦果報告を鵜呑みにしているのに対して、特攻の命中率(有効率)に関しては、「戦果確認機の報告はあっても不確実を極めたから」という理由で、アメリカ側の「アメリカ海軍作戦年誌」「キング(アメリカ海軍作戦部長)報告書」「ニミッツ戦記」などから引用したデータを、難解な独自ルールで加工して提示しています。

鴻上氏は小沢氏の“独自ルール”で算出した特攻の低い命中率と日本軍主張の過大な命中率を比較し、特攻の命中率は大したことないとするこの小沢氏の珍論に誘導されてしまっています。
言うまでもないことですが、特攻の命中率をアメリカ側の資料(を元にした小沢氏主張のデータ)で検証するなら、当然に通常攻撃の命中率もアメリカの資料で比較しないと公平で客観的な比較ができないでしょう。

こんな比較しようのないデータでの比較ではなくて、アメリカ軍が公式記録として、公式の戦闘記録や被害報告を元にして、特攻と通常攻撃の有効性の比較をしっかりとまとめております。(アメリカ合衆国海軍司令部. Anti-Suicide Action Summary August 1945 アメリカ海軍公式HPで閲覧可能)
フィリピン戦以降で特攻が開始された1944年10月以降沖縄戦初期の1945年4月までのデータとはなりますが、米軍艦艇の視界内に入った通常攻撃機は2152機内有効攻撃58機(有効率2.7%)特攻は784機内有効攻撃216機(同27%)と有効率は特攻が通常攻撃の10倍でした。
さらに1発(1機)の命中弾をアメリカ艦艇に与えるために失われる攻撃機の数は、特攻3.6機に対して通常攻撃は6.1機と倍近い損失率となっていますので、特攻よりも通常攻撃の方が危険だったという皮肉な結果となっています。

小沢氏の独自見解の有効率も、不完全ながらアメリカ軍の公式資料が元のデータを加工したものですから、客観性を期すなら、このように同じ時期(大戦後半期)で同じ基準(アメリカ軍の公式資料)の数値を、加工しないか、同じ基準で加工して検証しないと、比較分析のしようがありません。
そういう意味では、小沢氏の特攻不効率説はデータ選択の時点で既に破綻してしまってると言えます。
なぜ、鴻上氏やその他この本を引用する方々は、自分で徹底的な調査をしようとせずに、このような古臭くて不正確な本をありがたがるのか本当に理解に苦しみます。
目の前にあるPCかタブレットかスマホで『kamikeze』とでも検索すれば、この本の数万倍も正確で詳細な情報が得られるこのご時世で、その努力も怠って、絶版本の記述を妄信しているのは手抜き以外のなにものでもないと思います。

鴻上氏は、小沢氏の特攻に対する評価や分析を鵜呑みにして、舌鋒鋭く「もはや、冷静に現実を見る能力をなくしたといっても過言ではない」と日本軍と特攻を罵倒していますが、しかし、小沢氏の知識不足による誤認がどうであろうが、特攻による損傷艦が膨大な数に上ったアメリカ側が小沢氏が言う所の「雑兵のかすり傷」と余裕綽々どころか逆に追い込まれており、この傾向がアメリカ海軍が史上最悪の損害を被った沖縄戦がピークとなったことは、アメリカ軍の記録やアメリカ高級軍人の伝記等を読めばわかることで、そのごく一例を挙げると
「44ヵ月続いた戦争のわずか10ヵ月の間にアメリカ軍全損傷艦船の48.1% 全沈没艦船の21.3%が特攻機(自殺航空機)による成果であった」
「アメリカが(特攻により)被った実際の被害は深刻であり、極めて憂慮すべき事態となった」
「日本が(特攻で)より大きな打撃力で集中的な攻撃を持続し得たなら、我々の戦略計画を撤回若しくは変更させ得たかもしれない」
「日本人によって開発された唯一の、最も効果的な航空兵器は特攻機(自殺航空機)であり、戦争末期数か月に日本全軍航空隊によって、連合軍艦船に対し広範囲に渡って使用された。」
「十分な訓練も受けていないパイロットが旧式機を操縦しても、集団特攻攻撃が水上艦艇にとって非常に危険であることが沖縄戦で証明された。」
(以上アメリカ戦略爆撃調査団報告書)
「沖縄戦は攻撃側にもまことに高価なものであった・・・艦隊における死傷者の大部分は日本機、主として特攻により生じたものである」(太平洋艦隊司令ニミッツ元帥)
「沖縄に対する作戦計画を作成していたとき、日本軍の特攻機がこのような大きな脅威になろうとは誰も考えていなかった。」(第5艦隊司令スプルーアンス大将)
「大部分が特攻機から成る日本軍の攻撃で、アメリカ側は艦船の沈没36隻、破壊368隻、飛行機の喪失800機の損害を出した。これらの数字は、南太平洋艦隊がメルボルンから東京までの間に出したアメリカ側の損害の総計を超えている」(連合軍最高司令官マッカーサー元帥)
「日本軍は特攻機という恐るべき兵器を開発した。日本航空部隊がその消耗に耐えられる限り、アメリカ海軍が日本に近づくにつれて大損害を予期せねばならない。」(第76水陸両用部隊司令官ダニエル・バーベイ中将)
「(沖縄戦で)艦船90隻が撃沈され、または甚大な損害を受けた。この作戦は、大戦の全期間を通じ、もっとも高価についた海軍作戦となった」(アメリカ史海軍史の第一人者サミュエル・モリソン少将)
他多数
まさか、戦争当時に特攻と対峙した正確なデータに基づくアメリカ軍公式やその高官の分析や評価より、10代で高等商船学校より予備学生で軍務について実戦経験はない小沢氏の、不正確な情報に基づく分析や評価の方が正確ということが有りうるか?は賢明な鴻上氏ならご判断できるのではと思います。

なんでアメリカ側の特攻に対する評価がこれほど高いのか?については上述の通り、圧倒的に高い(大戦序盤の熟練搭乗員による急降下爆撃の命中率を凌ぐ)有効性もですが、何より人命優先のお国柄ですから、「雑兵のかすり傷」にもつきものの人的損失が膨大に及んだためです。
20,000名~45,000名(諸説あり)にも及んだ特攻による死傷者にアメリカ軍は非常に頭を悩ませ、死傷防止のハウツービデオ(ニュース映画)を作ってみたり必死に対策を講じましたが(United States Navy ACTION REPORT FILM CONFIDENTIAL『Combating suicide plane attacks』)、それでも死傷者は増え続けました。

このように、いろんな(特にアメリカ側)の資料も参照すれば、特攻がいかに有効でいかに米軍に恐れられたか、聡明な鴻上氏なら理解できると思うのですが、残念ながら小沢氏の主観を鵜呑みにされています。

そして、この手の特攻叩き本でお約束の、撃沈したのは防御力の弱い小型艦のみだから、特攻は大したことないという評価も当然のごとく書かれています。

意外なことですが、「全軍特攻」を唱えていた日本軍でしたが、大戦末期ですら特攻機より多数の通常攻撃機を繰り出してます。(沖縄戦では海軍のみでも特攻延1,868機に対し戦闘機を除く通常攻撃機延3,747機)
しかし、特攻が開始された1944年10月以降で、特攻以外の航空攻撃で撃沈できた艦船はわずか8隻(航空特攻53隻)、沖縄戦に至っては0隻(航空特攻29隻)と惨澹たる結果で、大戦後半で強化されたアメリカ艦船を撃沈することがいかに困難だったかの検証がまったくなされてません。ちゃんと検証すれば、大戦末期で近づくことさえ困難になったアメリカ軍艦隊を撃沈できる、ほぼ唯一の手段が特攻であったことが判るはずです。

それに主力艦が特攻で深刻なダメージを受けて次々と戦線離脱するのは、米軍の公式記録や、フォレスタル・ニミッツ・スプルーアンス・ハルゼーといった米海軍高官の回想等を見ても、作戦に大きな支障を与えており、特攻の大きな成果であった事がわかります。
例えば、フィリピン戦で特攻による空母の戦線離脱が相次いだため、1944年中に計画されていた高速空母隊による初の東京への本格的な空襲が中止に追い込まれ、沖縄戦では特攻によるアメリカ軍艦隊の損害があまりにも大きかったため、艦隊司令スプルーアンスの懇願により1945年4月~5月にかけて都市の無差別爆撃が中止され、延べ2000機のB-29は特攻基地への戦術爆撃に回され、この間2か月弱、日本の主要都市はB-29の無差別爆撃の被害がかなり軽減されています。
これは、第二次世界大戦における、アメリカ軍最上級の報告書であるUnited States Strategic Bombing Survey Summary Report (Pacific War)にも「約2000機のB-29爆撃機の出撃は日本の都市並びに工場施設の直接攻撃から九州の神風特攻隊基地への攻撃に変換させられた」と記述されているれっきとした史実です。
これらも特攻による戦略的・戦術的な効果ですが、この手の本では確実に無視されます。

それに艦が深刻な損傷を被れば、当然に大きな人的損失が伴い修理の為の莫大なコストもかかります。
沖縄戦で、ある米軍従軍記者(ピューリッツァー賞受賞記者ハンソン・ボールドウィン)が、「損傷艦が多すぎて太平洋が渋滞している」と嘆いていたぐらい膨大な艦船が長期に渡り沖縄戦の戦場から離脱し、その分戦力は減少しているのですから、それも特攻の大きな効果と言え、上述のようにアメリカ軍もそう評価していました。

この本もそうですが、特攻を叩く際には、その戦果に難癖をつける為、特攻が仕留めた護衛空母3隻を防御力が弱くて撃沈しやすいと言う恣意的な誘導がされます。
しかしながら、アメリカ軍が大戦中に失った護衛空母はたった6隻(内太平洋戦域5隻)、サマール沖海戦では護衛空母カリニン・ベイが20発以上の戦艦や重巡の巨砲を浴びましたが致命的な損傷には至らずその後も任務を継続し、護衛空母ホワイト・プレーンズは日本軍重巡鳥海と撃ち合って、逆に鳥海を大破させるなど非常な難敵で、日独軍が航空通常攻撃で撃沈した護衛空母は0(特攻3隻 潜水艦2隻 水上戦1隻)であり、正規空母と比較すれば脆弱だっただけで、撃沈困難な難敵であったことには変わりなく、逆に特攻がよく仕留めたという評価ができると思います。

「大型艦の撃沈ができなかったから特攻はショボい」という日本で何十年にも渡って使い古された、軍事的視点絶無で事実誤認の特攻叩きのロジックは、この情報化時代でいい加減もう止めてもいいんじゃないんでしょうか?

さらに「士官学校卒のエリートは温存されて特攻にはあまりいかなかった」というこれまたお約束の指摘もあっています。その根拠が、特攻で戦死した航空士官のなかで、学生出身の予備士官の割合が80%に達していたからというものですが、これは特攻開始当時の日本軍の状況を無視しています。それまでの激戦で士官学校卒の航空士官が大量に戦死して、その穴埋めとして採用されたのが学徒動員で徴兵された予備士官であって、1945年4月(沖縄戦開始時点)では航空士官内の予備士官比率82.4%、これが終戦時点では89.4%に跳ね上がっており、航空士官の特攻戦死者の士官学校卒士官と予備士官の割合は、その時点の全体での士官学校卒と予備士官の構成率であったに過ぎません。

それに、温存するにも、士官学校卒のエリート航空士官自体が既に枯渇しており、例えば、海軍兵学校第67期卒業生の86名の航空士官のなかで66名死亡で死亡率76.6%、特に戦闘機に搭乗した士官は16名のうちで生存者はたった1名、艦上爆撃機搭乗の士官の13名に至っては全員死亡しており、温存なんて全くできていないのがわかるでしょう。この通り、海兵学校卒のエリート航空士官の多くは常に最前線で戦い、殆どが亡くなっていたわけで、この本でいうような「学生出身を差別していた」というのは、日本海軍伝統の指揮官先頭・率先垂範を実践して亡くなった多くの海兵学校卒の士官に失礼だと考えます。

そしてトドメが、この本の記述内容に基づいた「しかも命令した上官は、米軍が迫ると台湾に逃げ出す始末。これが戦争の現実、日本軍の真実だ。」というこの本への推薦文です。
まぁこれは、第4航空軍司令冨永恭次中将のことを指しているんでしょうが、佐々木氏の上官に当たる人物の陸軍航空隊で特攻に関連した人物58名が終戦直後に自決したことを、鴻上氏やこの記述を信じる人たちは知っているのでしょうか?
そのなかで、まさに佐々木氏に特攻を命じた上官そのものの、第4航空軍参謀長であった隈部正美少将は、終戦直後に、冨永中将を十分に補佐できなかったことを悔いて、家族全員を射殺したのちに自らも自決し、佐々木氏らが搭乗した99式双発爆撃機を特攻仕様に改造する指揮をとった航空総軍兵器本部の小林巌大佐は手榴弾で自爆するなど、壮絶な最期を遂げてます。

この通り逃げた人もいれば、自ら特攻したり責任を感じて自決した人もいるのですから、冨永中将の逃亡という事象だけで「日本軍の真実だ」とする断定は乱暴すぎるでしょう。
特定の人物を取り上げて、それをある集団の特徴みたいに断言するのは、「早まった一般化」や「過剰一般化」という詭弁もしくは誤謬ですが、日本軍叩きでは往々にこの詭弁がまかり通っていることに違和感を感じます。

それに、冨永中将については、この本の主人公佐々木氏は、鴻上氏のインタビューに答えて、冨永中将に悪い印象はない、握手もしていると答えているのに、そのあとも、わざわざ否定的な発言をさせようと誘導尋問じみた質問をしているのは、戦い終わって誰も恨んでいない潔い佐々木氏に対して失礼ではないかと正直読んでいて不快感を覚えました。

と話は少し脱線しましたが、確かに鴻上氏らが指摘するように、特攻は絶対的に正当化したり称賛すべきようなことではないでしょう。その結論については、そう反対する人はいないと思います。
とは言え、特攻隊員らと一緒に誇り高く戦い抜いた佐々木氏を取り上げた本で、一方的な記述で佐々木氏の戦友であった特攻隊員らを不当に『無駄死』扱いするのはいかがなものでしょうか?それが体調もすぐれないなかで、鴻上氏の取材に何度も応じた佐々木氏の本意であったのかは疑問を感じます。

こんな酷い作戦を命じた旧日本軍への批判と共に、軍から非道な扱いを受けながらも、連合軍に大打撃を与え、一矢を報いて誇り高く亡くなっていった特攻隊員を純粋に軍事面から分析してみるなど、多面的に評価に評価してもいいんじゃないかと私は思います。

鴻上氏のような聡明で影響力多大な人物がこのような本を出版することは、真実の特攻像への検証の妨げにしかならないと感じますので、評価は最低とさせていただきます。


by seikouudokunohito | 2019-01-03 11:28 | 書評 軍事 | Comments(0)

情報と国家  収集・分析・評価の落とし穴   

2018年 10月 07日

情報と国家  収集・分析・評価の落とし穴/江畑謙介/講談社現代新書/2004

インフォメーション、インテリジェンス、公刊情報、公刊インテリジェンスなど、公開情報をベースに情報収集、分析する人向けに、用語の定義、英語と日本語の意味の微妙な違いについて、詳述した新書にしては珍しい労作。
この方の著作には、手抜きがないことがわかる一冊。


by seikouudokunohito | 2018-10-07 17:13 | 書評 軍事 | Comments(0)

軍国主義が日本を救う   

2018年 06月 22日

軍国主義が日本を救う/倉山満/徳間書店/2014

正しい「軍国主義」を採用すれば日本は甦ると主張する本。
拉致被害者を奪還するために、日本が武力行使すべきかどうか、問題意識を持たれている方に一読されることをお勧めしたい。


by seikouudokunohito | 2018-06-22 11:59 | 書評 軍事 | Comments(0)

田母神「自衛隊問答」 国防の「壁」を打ち破る!    

2018年 06月 13日

田母神「自衛隊問答」 国防の「壁」を打ち破る! /田母神 俊雄、拳骨拓史/PHP研究所/2015

安倍政権が行った、集団的自衛権行使の解釈変更を促す目的で書かれ、防衛省予算のあり方、軍法会議復活、三島由紀夫を裏切った?中曽根康弘のことなども書かれている。

驚いたのは、田母神俊雄が、渡部昇一の「知的生活の方法」、「ドイツ参謀本部」を30歳の時に読んだ以降、ノンポリであることをやめたと公言していることである。


by seikouudokunohito | 2018-06-13 12:52 | 書評 軍事 | Comments(0)

"悪の論理"で世界は動く 地政学ー日本属国化を狙う中国、捨てる米国   

2018年 01月 25日

"悪の論理"で世界は動く 地政学ー日本属国化を狙う中国、捨てる米国/奥山真司/フォレスト出版/2010

わかりやすく書かれた本で内容には異存はない。
が著者は、本で示した結論の根拠をなんでもかんでも地政学だとしたいようだ。
主観に過ぎないことまで、地政学者であるという権威を示して受け入れさせようとしているよう気がする。

少なくとも書かれていることについて、もう少し論理的に書くべきだ。書いている内容に尤もな点があることは認めるが、何を根拠にそう考えるのか、結論づけたことと地政学がどう関係しているのか?個々に示していない。
別に地政学を振り回さなくても済むことを何でもかんでも地政学、地政学と振り回している印象がある。

そして、著者にもう一つ欠けていることは、地政学以外の視点がなさそうであることだ。
学者馬鹿と言われないためにも、その点の解消に心がけるべきではないか。

ただし、地政学をまったく知らない人にとって、この本は素晴らしい本であることは確かだ。

そういう意味でこの人については、自著よりも翻訳書の方に注目しておきたい。


https://www.amazon.co.jp/“悪の論理”で世界は動く-地政学—日本属国化を狙う中国、捨てる米国-奥山-真司/product-reviews/4894519178/ref=cm_cr_dp_d_ttl?ie=UTF8&reviewerType=all_reviews&sortBy=recent#ROM4NPEYBBZLK
机上の空論
投稿者Amazon_Makes_My_Life_Easier2010年5月20日

 論理としては正しいし、全く著者の主張する通りだと思います。

 しかし、一番の問題は「地政学」にのみこだわっていること。戦後憲法、日米安保条約、エネルギーや原材料の調達を含む貿易や輸出入、日本の国内政治のだらしなさ等、現実的な問題を排除しているに等しい議論なのは現実的ではない。

 アメリカは〜するだろう、といった仮定に基づいた想定が必要なのはわかります。では、アメリカが日本に対して〜するであろう、と想定するその根拠が示されていません。結局、そういうもんなだから、という論調で本を書いているので、とんでもオカルト本よりも説得力に欠けているのです。

 一番の問題は、仮に日本が「地政学」的かつ軍事的に独立する道を選んだ時、徴兵制度を受けいられるであろうか、という点ではなかろうか。国内的にも周辺諸国的にも。

「地政学」も必要ですが、それを含む多面的な議論はもっと必要だということは、よく理解できました。


ポリ銀
5つ星のうち4.0
現状分析は優れているが、処方箋としては弱い。2010年6月15日
最近読んだ地政学の本である。著者は若手の地政学者である。珍しい経歴の持ち主で、音楽関係の専門学校を卒業後単身カナダへ留学し、そこで地政学にどっぷりとハマってしまったそうな。現在は、イギリスの大学院で、地政学の第一人者コリン・グレイ教授のもと、博士号取得に向け勉強中だそうだ。奇しくも私と同い年なので、感慨深く読んだ。

地政学という学問は、戦争に関する戦略を地理的側面をベースに考える学問で、地理学「ゲオ」と政治学「ポリティクス」をあわせた、ゲオポリティクスとして成立したのだとか。戦前は、日本の国でも盛んに研究が行われ、国策の枢要を形成していたそうだが、元をたどるとこの学問はナチスが盛んに研究し実践的に応用していたそうで、戦後は世をはばかる学問として肩身の狭い思いをしているそうな。ただし、それは表向きの話であって、実際はナチスを解体し調査したアメリカがこの学問の有効性に気づき、現代のアメリカ戦略の基本としているという。

日本の大学では、防衛大学ですら地政学の授業やクラスはなく、専門教育として地政学が勉強できないというのには驚いた。

ただ、この程度の認識は別にイギリスまで行って勉強しなくてもわかることである。孫子・韓非子・春秋左氏伝などを熟読玩味すれば、同様の結論に至るのである。処方箋として著者は3つの方法を挙げるが、いずれも処方箋としての体をなしていない。孫子の冒頭や、韓非子の冒頭にも書かれていることであるが、いかにして国論を統一して国民を死地に赴く決意をさせるか、これが大事なのであってそれなくしては机上の空論なのである。地政学も政治学であるならば、それを用いる政治家の力量ひいては人材なくしては、いかなる戦略も実現しないのである。



by seikouudokunohito | 2018-01-25 17:33 | 書評 軍事 | Comments(0)

サルでもわかる 日本核武装論 (家族で読める family book series 006) (家族で読めるfamily book series―たちまちわかる最新時事解説)   

2017年 08月 13日

サルでもわかる 日本核武装論 (家族で読める family book series 006) (家族で読めるfamily book series―たちまちわかる最新時事解説)/田母神俊雄/飛鳥新社/2009


北朝鮮がミサイル実験を繰り返す中、我が国がどういう考え方、過程を経て核武装実現すべきか、実務的視点から書かれた本。
その辺にいる言論人が知ったかぶりして書いたものよりは単刀直入かつわかりやすい。


by seikouudokunohito | 2017-08-13 12:57 | 書評 軍事 | Comments(0)

大本営発表  改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争   

2017年 06月 21日

大本営発表  改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争/辻田真左憲/幻冬舎新書/2016

大本営報道部の戦果の誇大発表、損害の過少発表だけでなく、その組織構造的な問題点について調べた労作。
大本営報道部で、陸軍報道と海軍報道が終戦直前まで独立して存在していたことが、大本営報道問題の最大要因であるが、彼らが新聞社から接待漬けで、かつ陸海の作戦課との板挟みに遭い、まともに仕事をする気がない集団であったことが伺える。

こういう過大戦果、損害の過少発表に係わった、特に、海軍軍人が係わった戦史叢書等については、その人物が如何なる人物だったのか?戦後もいい加減なことをしていないか、アメリカの協力者ではないのか、の視点から、厳密にチェックする必要があるだろう。


by seikouudokunohito | 2017-06-21 16:27 | 書評 軍事 | Comments(0)

地政学の論理  拡大するハートランドと日本の戦略   

2017年 04月 18日

地政学の論理  拡大するハートランドと日本の戦略/中川八洋/徳間書店/2009

地政学を論ずる、各国の学者の説を解説した、入門書レベル以上の本。
著者ならではの見解も読めて、大変参考になる。


by seikouudokunohito | 2017-04-18 08:20 | 書評 軍事 | Comments(0)

防衛疑獄   

2017年 03月 21日

防衛疑獄/秋山直紀/講談社/2008

刑事被告人にされてしまった、秋山直紀の視点から見た、防衛族、官僚、制服組、取引業界に係わる比較的客観的な実態レポート。
これを読むと、田母神俊雄の裁判は、検察と防衛族のせめぎ合いの中の一環として仕立てられているような気がする。

あくまで、防衛利権の本流は、自民党清和会であって、その本流に楯つく者、たとえば小沢一郎に組みする者が、検察捜査のターゲットとなることが避けられない、この本が導き出す結論はそういう世界ではないかと思えてならない。


by seikouudokunohito | 2017-03-21 13:01 | 書評 軍事 | Comments(0)

零戦撃墜王 空戦八年の回顧   

2017年 01月 15日

零戦撃墜王 空戦八年の回顧/岩本徹三/今日の話題社/1987


大東亜戦争における、日米の戦闘機パイロットで最も撃墜数が多いと言われる、岩本徹三が書いた、空戦8年間の記録。
本書は、著者がノート3冊に書きためたものを、死後、出版化となった。
著者のノートにはびっしり書きためてあったと出版社は認めている。

撃墜王、命を削り、特攻隊の護衛という過酷な任務を全う、戦艦大和の仇討と称し同海域でのアメリカの戦闘機を撃墜したことなど、さすが零ファイターにふさわしい。
本書の冒頭に、著者岩本徹三の終戦直前の写真がある。
多分に困難な任務だらけだったと思うが、八年間、空戦を全うされたそのスキル、熱意、度胸、決断に、一人の日本人として、脱帽するしかない。

一方で、ミッドウエーでの敗戦を報告を怠り、戦艦大和ホテルでのんびりと貴族気分で過ごしていたであろう、あの司令長官とその参謀たちは
戦争遂行に不必要な存在だったと思わざるを得ない。

無論、著者は、そんなことは書いていない。が、任務を全うした者の戦時中の態度は賞賛に値する。


by seikouudokunohito | 2017-01-15 17:20 | 書評 軍事 | Comments(0)