失敗の本質―日本軍の組織論的研究   

2011年 08月 29日

失敗の本質―日本軍の組織論的研究/ 戸部 良一、寺本 義也、鎌田 伸一、 杉之尾 孝生
/中公文庫/1991

大東亜戦争の負け戦を6つのケーススタデイから組織論的に分析した本である。
内容は、一見、軍事関係者向きだが、よく読むとビジネス書としても読める。
なぜなら、この本に将軍クラス、参謀の中に、典型的なエリートが登場し、重大局面でどういうものの考え方、判断、意思決定を行ったかが分析されているからである。

陸軍大学を優秀な成績で卒業したからと言って、地政を知らず、情報を知らず、技術進歩に伴う軍事戦略の変化の意味を知らず、現場を知らず、戦闘を知らず、補給を知らず、ただただ地位を得ること、その地位を維持するために職務権限を最大限発揮した結果もたらされた悲劇がここにある。

そして、この有害な指揮官と同じような手法を繰り返す、政治家、経営者が、今も我々の社会に生息しているのである。
だから、この本は、経営者を目指す方は、自分が有害な経営者でないか確認するために
読んでいただきたい。そして、エリート偏重人事が如何に組織を危険に陥れるか学んでいただきたい。
文献としては、古典的名著であり、非常に読み応えあり、著者が非常に苦労して書かれたものであること、巻末の参考文献の紹介が充実していることは認めるが、著者に少なからず気負いが感じられ日本軍の長所をあまり評価せずこれでもかと思われるくらい自虐的なスタンスで書かれている点は残念に思う。

本が分厚いので、手短に読みたい方は、ミッドウエー海戦に的を絞って読まれることをお薦めする。
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by seikouudokunohito | 2011-08-29 09:55 | 書評 軍事 | Comments(0)

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